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社会福祉法って、どんな法律?

私たちの暮らしと福祉を支えるしくみ

公開日:

社会福祉法って、どんな法律?

「社会福祉法」という名前を聞いて、 どんな法律を思い浮かべるでしょうか。

介護保険法なら「介護」、 児童福祉法なら「こどもの福祉」と、 名前から何となく想像できます。

ところが、「社会福祉法」と言われると、

いったい誰のための、 何を決めている法律なのだろう。

少し分かりにくいかもしれません。

社会福祉法は、 介護だけ、障害だけ、高齢者だけ、といった 一つの分野について定めた法律ではありません。

社会福祉法第1条には、 この法律が、社会福祉を目的とする事業の 「全分野における共通的基本事項」 を定めることが示されています。

そこには、 福祉サービスを利用する人の利益を守ること、 地域福祉を進めること、 社会福祉事業が適正に行われるようにすることなどが 含まれています。

ただし、 ここで一つ注意したいことがあります。

社会福祉法が、 児童福祉法や老人福祉法、生活保護法などの 「上」にあって、 それらを従える法律だということではありません。

社会福祉法第1条自身も、 社会福祉を目的とする他の法律とともに、 社会福祉の増進を図っていく という考え方をとっています。

それぞれの法律が、 それぞれの役割を持っているのです。

では、その中で社会福祉法は、 どのような役割を担っているのでしょうか。

それを知るために、 まずは日本の福祉を支えている法律を 少し見渡してみましょう。

福祉の法律は、社会福祉法だけではありません

私たちの暮らしを支える福祉の制度は、 社会福祉法だけで成り立っているわけではありません。

たとえば、

・生活を支える「生活保護法」

・こどもの福祉に関する「児童福祉法」

・高齢者の福祉に関する「老人福祉法」

・障害のある人の福祉に関する 「身体障害者福祉法」や「知的障害者福祉法」

など、それぞれの分野を支える法律があります。

このうち、 生活保護法、児童福祉法、 母子及び父子並びに寡婦福祉法、 老人福祉法、身体障害者福祉法、 知的障害者福祉法の6つは、 一般に 「福祉六法」 と呼ばれています。

さらに現在では、 介護保険法、障害者総合支援法、 生活困窮者自立支援法 など、 暮らしを支えるさまざまな法律や制度があります。

では、これだけ多くの法律がある中で、 なぜ社会福祉法が必要なのでしょうか。

一つの大きな特徴は、 社会福祉法が、特定の一分野だけではなく、 福祉のさまざまな分野に共通する 仕組みや考え方を定めていること です。

社会福祉法には、たとえば、

・社会福祉事業

・社会福祉法人

・福祉事務所

・福祉サービスを適切に利用するための仕組み

・社会福祉協議会

・地域福祉

などについて定められています。

一つひとつを詳しく見ていけば、 それぞれが大きなテーマです。

この記事では細かな制度の説明には入りすぎず、 まず、

社会福祉法が、 私たちの暮らしと福祉を どのような考え方で支えているのか。

その全体像を見ていきます。

福祉サービスの基本にある「個人の尊厳」

社会福祉法を理解するうえで、大切にしたい考え方の一つが、「個人の尊厳」です。

社会福祉法第3条では、福祉サービスについて、

「個人の尊厳の保持を旨とし」

なければならないと定めています。

さらに、利用する人が、その人の持つ能力に応じて自立した日常生活を営むことができるよう支援するものであり、良質で適切なものでなければならないとされています。

ここでいう「尊厳」は、単に丁寧に接するということだけではありません。

年齢を重ねても、病気や障害があっても、生活の中で誰かの支援を必要とするようになっても、一人の人として尊重されながら暮らしていくこと。

それが、福祉サービスの基本に置かれている考え方です。

そして、この考え方は2026年の社会福祉法改正でも、さらに明確にされました。

改正された第5条では、福祉サービスを提供する際に、利用者の意思決定の支援に配慮するとともに、その人の意向を十分に尊重するよう努めることが規定されました。この改正部分は、2026年6月25日の公布日から施行されています。

これは、

支援する側が一方的に「この人には、これがよい」と決めるのではなく、本人はどうしたいのか、その意思をどのように支えていくのか。

そうした視点を、福祉サービスの提供において大切にするということです。

福祉サービスを必要とするようになったからといって、その人の人生を誰かに委ねるわけではありません。

支援を受けるときにも、一人の人として尊重され、自分の意思が大切にされる。

「個人の尊厳」は、社会福祉法を知るうえで覚えておきたい、大切な考え方の一つです。

暮らしを地域全体で考える「地域福祉」

社会福祉法を理解するうえで、もう一つ大切な言葉があります。

「地域福祉」

「地域福祉」と聞くと、近所の人同士で助け合ったり、地域のボランティアが困っている人を支えたりすることを思い浮かべるかもしれません。

もちろん、そうした地域のつながりも大切です。

しかし、社会福祉法が考えている地域福祉は、それだけではありません。

社会福祉法第4条では、地域福祉について、地域住民がお互いの人格と個性を尊重しながら参加し、「共生する地域社会」の実現を目指すことが定められています。

そして法律は、地域で暮らす人が抱える問題を、福祉だけに限って考えているわけではありません。

福祉や介護だけでなく、保健医療、住まい、就労、教育、地域社会からの孤立など、その人や世帯が暮らしの中で抱えるさまざまな課題を「地域生活課題」として捉えています。

たとえば、

高齢になって介護が必要になった。

同時に、住まいや生活費にも不安がある。

頼れる人が近くにおらず、人とのつながりも少なくなっている。

こうした困りごとは、「介護」「住まい」「生活」「孤立」と、それぞれ別々に現れるとは限りません。

一人の暮らしの中で、いくつもの問題が重なっていることがあります。

だからこそ社会福祉法では、必要な支援を一つの制度の中だけで考えるのではなく、関係する支援機関などが連携しながら課題の解決を図ることが重視されています。

「地域で支える」は、「地域に任せる」ことではありません

ここで注意したいことがあります。

地域福祉とは、

「困っている人を、地域住民の善意だけで支えましょう」

という意味ではありません。

社会福祉法では地域住民だけでなく、社会福祉事業を行う事業者や、社会福祉に関する活動を行う人たちが互いに協力することを定めています。

さらに国や地方公共団体にも、地域生活課題への支援が包括的に提供される体制を整えるなど、地域福祉を進めるために必要な措置を講じるよう努めることが求められています。

つまり、地域福祉とは、

地域のつながりだけに頼るのでもなく、行政や専門機関だけに任せるのでもありません。

そして、何より大切なのは、

それぞれが役割を持ちながらつながり、その人の暮らし全体を見て、必要な支援へつなげていくことです。

介護のことは介護だけ、住まいのことは住まいだけ、生活のことは生活だけ、と切り分けるのではなく、一人の人が抱えている暮らしの課題として捉えていく。

そのうえで、地域住民、行政、福祉事業者、専門機関などが、それぞれの役割を持ちながら連携していく。

これが、社会福祉法の「地域福祉」を理解するうえで、とても大切な考え方です。

そして、この「一人の暮らし全体を見る」「分野を越えてつながる」という考え方は、2026年の社会福祉法等の改正にもつながっています。

社会福祉法は、私たちの暮らしとどう関係するの?

ここまで読むと、

「社会福祉法が大切な法律なのは分かったけれど、自分の暮らしとはどんな関係があるの?」

と思う方もいるかもしれません。

普段の生活の中で「社会福祉法に基づく仕組みを利用している」と意識する機会は、あまり多くないかもしれません。

けれども、実際に福祉サービスを必要としたとき、その利用を支える仕組みも社会福祉法に定められています。

たとえば、福祉サービスを利用しようとする人が必要な情報を得られるようにすること。

サービスの利用を申し込んだときに、契約内容などについて説明すること。

一定の場合には、提供されるサービスの内容や利用者が支払う金額などを書面で明らかにすること。

さらに、サービスについて困ったことや納得できないことがあったときには、苦情を適切に解決するための仕組みも設けられています。

社会福祉法には、このように福祉サービスを提供する側だけではなく、利用する人の立場から福祉を考える仕組みも組み込まれています。

福祉サービスを必要とする人は、ただサービスを「受けるだけの人」ではありません。

必要な情報を得る。

説明を受ける。

サービスを利用する。

そして、困ったことがあれば声を伝える。

こうした仕組みもまた、社会福祉法と私たちの暮らしとの接点なのです。

社会福祉法は、今も変わり続けています

社会福祉法は、一度つくられて、そのまま変わらずに続いてきた法律ではありません。

社会が変われば、私たちの暮らしも変わります。そして、福祉に求められる役割も変わっていきます。

高齢化や人口減少、家族や親族だけを頼りにすることが難しい人への支援、一つの制度だけでは対応しにくい複合的な生活課題、福祉を担う人材の確保など、現在の福祉にはさまざまな課題があります。

こうした社会の変化を背景として、2026年には社会福祉法をはじめとする福祉関係の法律が改正されました。

今回の改正でも、地域での包括的な支援体制や、頼れる身寄りがいない高齢者等への支援、福祉人材の確保など、これからの暮らしと福祉に関わるさまざまな見直しが行われています。

ただし、改正された制度がすべて同じ時期に始まるわけではありません。

原則となる施行日は2027年4月1日ですが、すでに施行されている規定や、今後、政令で施行日が定められるものもあります。

また、法律成立後も、具体的な制度設計について検討が続いている分野があります。

このコラムでも、制度の具体化を確認しながら、私たちの暮らしにどのような関係があるのかを、必要に応じて取り上げていきます。

社会福祉法を知ることは、暮らしを支える仕組みを知ること

「社会福祉法」という名前だけを見ると、自分にはあまり関係のない、難しい法律のように感じるかもしれません。

けれども、ここまで見てきたように、社会福祉法には、社会福祉のさまざまな分野に共通する仕組みだけでなく、「個人の尊厳」や「地域福祉」といった、福祉を考えるうえで大切な考え方も定められています。

そして、福祉は、今困っている誰かだけのものではありません。

年齢を重ねることもあれば、病気やけがをすることもあります。介護が必要になったり、仕事や住まい、人とのつながりについて困ったりすることもあるかもしれません。

暮らしの状況は、誰にとっても変わる可能性があります。

必要になったときに、その人の尊厳や意思が大切にされ、必要な福祉サービスや支援につながることができる。

そのための共通する考え方や仕組みを定めているのが、社会福祉法です。

社会福祉法は、特定の一分野だけを扱う法律ではなく、さまざまな福祉分野に共通する考え方や仕組みを定め、他の福祉関係法とともに、私たちの暮らしを支えている法律です。

まずはそのことを知ることが、複雑に見える福祉の仕組みを理解する一つの入口になるのではないでしょうか。

参考資料

本記事の作成にあたり、主に以下の公表資料・法令を参照しました。

・厚生労働省「社会福祉法」

社会福祉法の目的、福祉サービスの基本的理念、地域福祉、福祉サービスの利用に関する規定などを確認するために参照しています。

・厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律」関係資料

2026年改正の内容や施行時期、利用者の意思決定支援に関する改正などを確認するために参照しています。

・厚生労働省「福祉事務所」

「福祉六法」と呼ばれる法律の範囲などを確認するために参照しています。

なお、本記事は、制度や法律の全てを網羅的に解説するものではありません。社会福祉法の全体像を、私たちの暮らしとの関わりから分かりやすく整理することを目的としています。

情報について

本記事は、2026年時点で公表されている法令、厚生労働省資料等の情報をもとに作成しています。

2026年の「社会福祉法等の一部を改正する法律(令和8年法律第51号)」は2026年6月25日に公布され、原則的な施行日は2027年4月1日とされています。

ただし、公布日から施行された規定や、今後、政令で施行日が定められる規定もあります。

制度の詳細については、今後公表される厚生労働省や自治体等の最新情報をご確認ください。

本記事の作成にあたっては、 資料の整理、構成の検討、文章表現の補助などに 生成AIを利用しています。

ただし、制度に関する記載については、 厚生労働省の公表資料や法令等の一次資料を 確認しながら作成しています。

更新履歴

2026年8月14日 公開

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