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【福祉人材】介護・福祉を担う人を、地域でどう確保し、働き続けてもらう?

2026年改正で変わる人材確保のしくみ

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導入|介護・福祉を担う人を、どう確保していく?

介護や福祉のサービスは、そこで働く人がいなければ成り立ちません。

では、人が足りなくなったとき、その人材をどう確保していけばよいのでしょうか。

一つひとつの事業所が求人を出し、働く人を探すことはもちろん必要です。

しかし、人口が減少し、働く世代も少なくなっていく中では、それぞれの事業所の取組だけで人材を確保し続けることが難しい地域もあります。

そして、人材確保は「採用できれば終わり」ではありません。

介護や福祉の仕事を選んだ人が、働き続けられる環境をどうつくっていくのか。人材の「確保」と「定着」の両方を考えていく必要があります。

これまでも、都道府県や福祉人材センターをはじめ、さまざまな関係機関によって人材確保の取組は行われてきました。

2026年の法改正では、こうした取組をさらに進め、地域の関係者がその地域の状況や課題を共有し、それぞれの役割を生かしながら、福祉人材の確保や定着に取り組んでいくための仕組みが新たに法律に位置づけられました。

では、なぜ人材確保を「地域」で考える必要があるのでしょうか。

そして、新しく法律に位置づけられた仕組みは、これまでの人材確保の取組と何が違うのでしょうか。

この記事では、介護・福祉を担う人を地域でどう確保し、どうすれば働き続けてもらえるのかという視点から、2026年の法改正を見ていきます。

1.なぜ、人材確保を「地域」で考えるの?

介護や福祉の人材不足といっても、その状況は全国どこでも同じではありません。

高齢化や人口減少の進み方、働く人の数、地域で確保できる福祉人材の状況などには、それぞれ違いがあります。

厚生労働省も今回の制度を検討する中で、高齢化や人口減少の状況、人材の供給量などには地域差や地域固有の課題があるとしています。そのため、地域の状況を分析し、関係者が課題を共有したうえで、その地域の実情に応じた取組を進める必要があると整理しています。

つまり、全国で同じ人材確保策を行えば、それだけで解決できるという問題ではありません。

ある地域では、福祉の仕事に就く人を増やすことが課題かもしれません。

別の地域では、働き始めた人の定着が課題になっているかもしれません。

また、若い世代や未経験者などに福祉の仕事を知ってもらうことや、人材を育成することが必要な地域もあります。

だからこそ、まず、

「この地域では、何が人材確保の課題になっているのか」

を知ることが出発点になります。

そのためには、行政だけ、事業所だけで考えるのではなく、福祉人材センターやハローワーク、養成施設、職能団体、事業者など、地域のさまざまな関係者が持っている情報を集め、課題を共有していくことが必要になります。

こうした考え方から、2026年の法改正では、地域の関係者が人材確保について話し合い、具体的な取組につなげていく仕組みが法律に位置づけられました。

次に、その中心となる「福祉人材確保のための協議会」について見ていきましょう。

2.「福祉人材確保のための協議会」って、どんな仕組み?

2026年の法改正で新たに法律に位置づけられたのが、「福祉人材確保のための協議会」です。

これは、福祉人材の確保について、地域のさまざまな関係者が情報を共有し、その地域の課題に応じた取組につなげていくための仕組みです。

協議会を設置する主体は都道府県です。

ただし、すべての都道府県に設置を義務づけるものではなく、法律では、都道府県が協議会を設置するよう努める「努力義務」とされています。

協議会には、一つの種類の機関だけが参加するわけではありません。

厚生労働省が示しているイメージでは、市町村、福祉人材センター、ハローワーク、介護労働安定センター、介護福祉士養成施設などの教育機関、事業者団体・職能団体、介護事業者など、人材の確保や育成、就職、職場への定着などに関わるさまざまな関係者が参加することが想定されています。

そして、この協議会は「介護職だけ」を対象としたものではありません。

今回の改正では、介護分野だけでなく、福祉分野全体で人材確保を進めていくことが重視されています。

では、こうした関係者が集まって何をするのでしょうか。

大切なのは、単に、

「この地域では人が足りません」

と報告し合うことではありません。

地域の人材確保や定着の状況を把握し、それぞれが持っている情報を共有する。そして、その地域では何が課題になっているのかを考え、実際の取組につなげていくことが、この仕組みの中心にあります。

厚生労働省も、協議会については、体制をつくること自体ではなく、効果的に機能させることが重要だと説明しています。

つまり、「協議会を設置した」というだけで終わるのではなく、

地域の状況を知る。
課題を共有する。
それぞれの役割を生かして取り組む。

そのための場として考えると、この協議会の役割が分かりやすくなります。

次は、地域の関係者が情報を共有することで、具体的にどんな取組につながるのかを見ていきましょう。

福祉人材確保のための協議会で地域の関係者が情報を共有し、課題を把握して地域に合った取組につなげる仕組み
地域の関係者が情報を共有し、課題を把握して、その地域に合った人材確保・定着の取組につなげていく仕組みです。

3.地域で情報を共有すると、何が変わるの?

地域の関係者が集まり、情報を共有することで、どのような取組につながるのでしょうか。

同じ「人材不足」であっても、その原因は地域によって違います。

福祉の仕事を希望する人が少ないのかもしれません。

福祉の仕事そのものを知ってもらう機会が少ないのかもしれません。

人を採用することはできても、その後の職場への定着が課題になっている場合もあります。

だからこそ、まず地域の状況を知り、「この地域では何が課題になっているのか」を具体的にしていくことが大切になります。

厚生労働省が示している考え方では、地域の関係者が情報を収集・共有・分析して課題を把握し、それぞれの役割を生かして具体的な取組を行います。そして、その効果を確かめ、改善しながら次の取組につなげていくことが想定されています。

実は、こうした取組は今回の法改正で初めて始まるものではありません。

その一例として厚生労働省が紹介しているのが、京都府の「きょうと介護・福祉ジョブネット」です。

京都府では、介護・福祉現場の職員や関係団体、職能団体などが参加するプラットフォームを設け、地域の課題に応じたチームをつくって、人材の確保や定着に取り組んできました。

たとえば京都府北部では、福祉人材の養成・確保や職場への定着を進めるため、大学生を対象とした福祉体験や実習の受入れなどが行われています。

また、小・中学生に授業を通して福祉の仕事を知ってもらい、仕事への理解や関心につなげる取組も行われています。厚労省資料によると、2024年度にはこの取組に12校、923人の小・中学生が参加しています。

つまり、地域で情報を共有する目的は、会議を開くことそのものではありません。

地域の課題を見つけ、その課題に合った取組につなげていくこと。

今回の法改正では、こうした地域での取組を一部の先行事例だけにとどめず、地域の実情に応じた人材確保を進めるための仕組みとして、法律に位置づける方向へ進んだと捉えることができます。

4.人を「確保する」だけでなく、「働き続けてもらう」

福祉人材の確保というと、新しく働く人を増やすことに目が向きがちです。

しかし、人を採用することができても、その人が働き続けることが難しければ、地域を支える人材はなかなか定着していきません。

そのため、人材を「確保する」ことと、働き始めた人に「定着してもらう」ことは、切り離して考えることができない課題です。

厚生労働省も、福祉・介護人材の確保について、仕事への参入を促すだけでなく、労働環境の整備、キャリアアップの仕組みづくり、福祉・介護の仕事への理解促進、多様な人材の参入などを組み合わせて進める考え方を示してきました。

今回の法改正でも、この「定着」は重要なポイントになっています。

「福祉人材確保のための協議会」では、地域でどのように人材を養成しているのかということだけでなく、働き始めた人が職場にどのように定着しているのかについても情報を共有し、地域の課題を考えていくことになります。

では、働き続けてもらうためには何が必要なのでしょうか。

これは、働く人だけに「長く続けてもらう」ことを求めるという話ではありません。

働きやすい職場環境を整えること、仕事をしながら知識や技術を身につけられるようにすること、将来のキャリアを考えられるようにすること、困ったときに相談できる環境を整えることなど、働き続けられる環境をつくる側の取組も必要です。

つまり、人材確保は、

福祉の仕事を知ってもらう。
働きたい人と仕事をつなぐ。
必要な人材を育てる。
そして、働き始めた人が続けられる環境をつくる。

そこまでを一つの流れとして考える必要があります。

今回の法改正では、こうした人材の「確保」と「定着」を、地域の関係者が一緒に考えていく仕組みが、より明確に位置づけられました。

5.福祉人材センターとは、何が違うの?

ここまで読むと、

「福祉の人材を確保するための仕組みなら、すでに福祉人材センターがあるのでは?」

と思う方もいるかもしれません。

都道府県福祉人材センターは、今回の法改正で新しくできるものではありません。

社会福祉法に基づいて都道府県ごとに設けられており、福祉の仕事を希望する人への無料職業紹介をはじめ、就職に関する相談や情報提供、研修、人材確保についての相談など、福祉分野で働く人を確保するためのさまざまな取組を行っています。

また、福祉人材センターは、もともと行政やハローワークなどの関係機関と連携して人材確保に取り組むこととされています。

では、今回の「福祉人材確保のための協議会」は何が違うのでしょうか。

協議会は、福祉人材センターに代わって職業紹介などを行う機関ではありません。

都道府県を中心に、福祉人材センター、市町村、ハローワーク、教育機関、福祉事業者や関係団体などが参加し、地域の人材確保について情報を共有し、課題を分析して、具体的な取組につなげていくための場です。

つまり、

福祉人材センター=人材確保を実際に支える機関の一つ

福祉人材確保のための協議会=そうしたさまざまな機関や団体が集まり、地域全体の課題と取組を考える場

と考えると、違いが分かりやすくなります。

もちろん、両者は別々に動くものではありません。

これまで福祉人材センターが蓄積してきた求人・求職や人材確保に関する情報、相談・研修などの経験は、地域の課題を考えるうえでも重要になります。

今回の改正は、これまでの福祉人材センターの取組を置き換えるものではなく、既存の取組を生かしながら、より多くの関係者が地域の課題を共有し、連携して人材確保に取り組むための仕組みを整えるものと捉えると分かりやすいでしょう。

6.もう一つの「協議会」とは何が違うの?

2026年の法改正では、「福祉人材確保のための協議会」とは別に、介護や障害福祉の現場における生産性向上等の取組を進めるための協議会も制度化されました。

名前は似ていますが、目的は同じではありません。

「福祉人材確保のための協議会」は、介護だけに限らず、福祉分野全体の人材確保や定着について、地域の関係者が課題を共有し、取組につなげていくための仕組みです。

こちらは、都道府県が設置するよう努める「努力義務」とされています。厚生労働省は、福祉分野全体を対象としたこうした取組が、まだ全国的に広く整っている状況ではないことなどを、努力義務とした理由として説明しています。

一方、生産性向上等に係る協議会は、介護や障害福祉の現場で、職員の負担軽減や業務改善、テクノロジーの活用などを通じて、サービスの質の向上や職場環境の改善につなげていくための仕組みです。こちらは都道府県による設置が義務となります。

介護分野では、法改正前の2026年1月時点ですでに45都道府県に「介護現場革新会議」が設置されていました。厚生労働省は、こうした既存の取組が広がっていたことも、設置義務とした背景として説明しています。

つまり、簡単に分けると、

「福祉を担う人を、地域でどう確保し、定着につなげるのか」

を考えるのが福祉人材確保のための協議会。

それに対して、

「限られた人材の中で、現場の負担を減らし、よりよいサービスを提供できる環境をどうつくるのか」

を考えるのが、生産性向上等に係る協議会です。

もちろん、人材の定着と働きやすい職場づくりは互いに関係しています。そのため厚生労働省も、人材確保・定着と生産性向上、職場環境改善などを関連する課題として整理しています。

7.この仕組みで、私たちの暮らしは何が変わるの?

「福祉人材確保のための協議会」と聞くと、行政や福祉事業者のための仕組みで、私たちの暮らしにはあまり関係がないように感じるかもしれません。

確かに、この協議会ができたからといって、私たちが新しく何かを申請したり、新しい福祉サービスを直接利用できるようになったりするわけではありません。

この仕組みが目指しているのは、必要な福祉サービスを支える人材を、地域でどう確保し、定着につなげていくかという、その土台を整えることです。

介護や福祉の制度があっても、実際にサービスを提供する人がいなければ、その制度を十分に機能させることはできません。

そのため、私たちにとっての関わりは、新しい手続や給付が増えるという直接的なものではなく、地域で必要なサービスを支える「人」の基盤をどう整えていくかというところにあります。

もちろん、協議会を設置すれば、それだけで人手不足が解消するわけではありません。

人口減少や働く世代の減少そのものを、この仕組みだけで解決することはできないからです。

それでも、必要な福祉サービスを提供するためには、それを担う人材が欠かせません。

福祉人材の確保と定着を地域の課題として考え、地域の実情に応じた取組につなげていくことは、将来の福祉サービスを支える基盤づくりの一つです。

今回の改正は、私たちが利用する制度そのものを直接変えるというより、その制度やサービスを支える側の体制を整えていくための改正と捉えると分かりやすいでしょう。

8.人材確保を、一つの事業所だけの課題にしないために

介護や福祉を必要とする人を支えるためには、その制度やサービスだけでなく、実際に支援を担う人が必要です。

これまでも、都道府県や福祉人材センター、関係機関、事業者などによって、人材の確保や育成、定着に向けた取組は行われてきました。

2026年の法改正では、そうした取組をさらに進め、福祉人材の確保や定着について、地域の関係者が情報を共有し、地域の実情に応じた取組につなげていくための協議会が法律に位置づけられました。

人材を確保するといっても、単に求人を増やせばよいわけではありません。

福祉の仕事を知ってもらう。
働きたい人と仕事をつなぐ。
人材を育てる。
そして、働き始めた人が働き続けられる環境をつくる。

地域によって人口の動きも、人材の状況も、抱えている課題も違います。

もちろん、協議会を設けるだけで、人手不足がすぐに解消するわけではありません。

今回の改正は、介護・福祉を担う人をどう確保し、どうすれば働き続けてもらえるのかを、一つひとつの事業所だけではなく、地域全体の課題として考えていく仕組みを法律に位置づけたものと整理できます。

施行時期には違いがあります

福祉人材確保のための協議会に関する改正は、法律の原則どおり2027年4月1日施行です。

一方、生産性向上等に係る協議会の設置義務化については、2027年4月1日ではなく、法律の公布から3年以内の政令で定める日から施行されることになっています。

参考資料・情報について

この記事は、2026年9月時点の厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律」に関する公表資料、福祉・介護人材確保に関する資料などをもとに作成しています。

厚生労働省「社会保障審議会福祉部会」関連資料
厚生労働省「福祉・介護人材確保対策」
厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律案の概要」

この記事は2026年9月時点の情報です。
今後、制度の運用に関する詳細が示されることがあります。新しい情報が公表された場合には、記事の内容を更新する場合があります。

本記事の作成にあたっては、資料の整理、構成の検討、文章表現の補助などに生成AIを利用しています。

ただし、制度に関する記載については、厚生労働省の公表資料等を確認しながら作成しています。

更新履歴

2026年9月19日 公開

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