暮らしと福祉 | WELFARE-020

2026年の社会福祉法等改正で、私たちの暮らしはどう変わる?【中編】

人口減少・人材不足のなかで、介護・福祉サービスはどう変わる?

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はじめに

前回の【前編】では、2026年の社会福祉法等改正について、「困ったとき、どこに相談するのか」「家族や親族を頼ることが難しいとき、誰が暮らしを支えるのか」「本人の意思や権利をどう大切にしていくのか」という視点から、これまでの記事をつないで考えました。

けれども、相談できる場所や必要な支援につながる仕組みがあっても、実際に介護や福祉を担う人や、利用できるサービスがなければ、私たちの暮らしを支えることはできません。

日本では人口減少が進み、地域によっては介護サービスの利用者だけでなく、サービスを担う働き手も減っていくことが見込まれています。

一方で、地域によって人口の減り方や高齢化の状況、必要とされるサービス、事業所の数などは異なります。

地域に必要な介護サービスを、どのように確保していくのか。

介護・福祉を担う人を、どのように確保し、働き続けてもらうのか。

高齢者の住まいや介護サービスの質を、どのように守っていくのか。

そして、介護が必要になった人とサービスをつなぐケアマネジャーを取り巻く仕組みを、どのように見直していくのか。

これらは別々の問題に見えますが、いずれも、必要な介護・福祉サービスをこれからの社会でどう確保していくのかという課題につながっています。

今回の【中編】では、WELFARE-012からWELFARE-016を中心に、これまで詳しく見てきた有料老人ホーム、人口減少地域の介護サービス、福祉人材、ケアマネジャーについて、もう一度「私たちの暮らし」という視点からつないで考えていきます。

1.支援につながった、その先を支えるもの

前編では、困ったときに相談できること、必要な支援につながること、そして家族だけに頼らず暮らしを支えることについて見てきました。

けれども、相談できる場所や必要な支援につながる仕組みがあっても、実際に介護や福祉を担う人や、利用できるサービスがなければ、私たちの暮らしを支えることはできません。

たとえば、介護が必要になり、相談窓口やケアマネジャーにつながったとしても、その地域に利用できる訪問介護や通所介護などのサービスがなければ、必要な支援を受けることは難しくなります。

高齢になって自宅で暮らし続けることが難しくなれば、住まいや施設を探すこともあります。そこでは、単に「入れる場所があるか」だけではなく、どのような介護や生活支援を受けられるのか、そのサービスの質が守られているのかも重要になります。

そして、こうしたサービスを実際に支えているのは、人です。

介護職員をはじめとする福祉の担い手がいて、事業所があり、必要なサービスを調整するケアマネジャーなどの専門職がいることで、制度は初めて私たちの暮らしの中で機能します。

ところが、人口減少が進むこれからの社会では、サービスを必要とする人のことだけでなく、そのサービスを誰が、どのような体制で提供していくのかも考えなければなりません。

しかも、状況は全国一律ではありません。

人口が大きく減っていく地域もあれば、高齢者が多く暮らす地域、介護・福祉の担い手を確保することが難しい地域もあります。

だからこそ、2026年の社会福祉法等改正では、利用する人への支援だけではなく、地域の介護サービスの提供体制、福祉人材、高齢者の住まい、ケアマネジャーなど、支援を実際に届けるための仕組みについても見直しが行われています。

ここからは、それぞれを別々の制度として見るのではなく、

「必要な介護や福祉を、これからの社会でどう届けていくのか」

という一つの視点から、これまでの記事をつないで見ていきます。

2.人口が減る地域で、介護サービスをどう残していくの?

介護サービスは、全国どこでも同じ条件のもとで提供されているわけではありません。

人口の多い都市部と、人口減少が進む地域とでは、暮らしている人の数も、介護を必要とする人の数も、働く人の数も、事業所を取り巻く環境も異なります。

とくに人口が減っていく地域では、介護サービスを利用する人が少なくなる一方で、介護を担う人材の確保も難しくなり、これまでと同じ形で事業を続けることが難しくなる地域が出てくることが課題になっています。

けれども、利用する人が少ないからといって、その地域で暮らす人に介護が必要なくなるわけではありません。

一人の利用者のために長い距離を移動しなければならないこともあります。

利用者が少なくても、その地域で暮らし続けるためには、訪問介護や通所介護などのサービスが必要な人もいます。

そこで2026年の改正では、人口減少などによって介護サービスの提供が難しくなる地域について、地域の実情に応じた方法でサービスを確保していくための新しい仕組みが設けられました。

WELFARE-013で詳しく見た「特定地域サービス」です。

この仕組みでは、一定の地域を対象として、地域の状況に応じた人員配置や設備、運営、介護報酬などの基準を設けることができるようになります。

ここで目指されているのは、単純に全国共通の基準を緩めることではありません。

人口が減っても、その地域で必要とされている介護サービスをどのような形なら提供し続けられるのか。

地域の実情に合わせて、その方法を考えられるようにすることです。

これは、介護を利用する側から見れば、とても身近な問題です。

住み慣れた地域で暮らしたいと思っても、必要な介護サービスが利用できなければ、その暮らしを続けることが難しくなる場合があります。

だからこそ、人口減少への対応は、単に介護事業所の経営をどうするかという問題だけではありません。

その地域で暮らす人に、必要な介護をどう届けていくのか。

そのためのサービス提供のあり方そのものを、地域の実情に合わせて考えていくことが、今回の見直しの一つになっています。

そして、どのような仕組みをつくっても、実際に介護や福祉を担う「人」がいなければ、サービスを届けることはできません。

次は、WELFARE-014で見てきた福祉人材の確保と定着について、暮らしとのつながりから考えていきます。

3.介護・福祉を担う人を、地域でどう確保するの?

介護や福祉のサービスは、制度や事業所があるだけでは成り立ちません。

実際に利用者の自宅を訪問する人、施設や事業所で生活を支える人、相談に応じる人など、そこで働く人がいて初めて、必要な支援を届けることができます。

ところが、人口減少や働く世代の減少が進むなかで、介護・福祉の分野では、必要な人材をどのように確保し、働き続けてもらうのかが大きな課題になっています。

この問題は、一つの事業所だけで解決できるとは限りません。

ある事業所が人材を確保できたとしても、別の事業所で人が足りなくなれば、地域全体で提供できるサービスに影響することがあります。

そこで2026年の改正では、WELFARE-014で詳しく見たように、都道府県が、福祉人材の確保や定着について地域の関係者と協議する仕組みが法律に位置づけられました。

行政だけで考えるのでも、一つひとつの事業所だけに任せるのでもなく、福祉関係者や養成機関などが地域の状況や課題を共有し、人材の確保や定着に向けた取組を協議していく仕組みです。

ここで重要なのは、単に「介護・福祉の仕事をする人を増やす」ことだけではありません。

新しく働く人を確保することに加えて、すでに働いている人が仕事を続けられる環境をつくることや、人材を育てていくことも必要です。

そして、これは介護・福祉の仕事に就く人だけの問題ではありません。

私たちが介護を必要としたとき、必要なサービスがあっても、そこで働く人がいなければ利用できないことがあります。

第2章で見た「地域にサービスを残すこと」と、この章で見ている「そのサービスを担う人を確保すること」は、切り離して考えることができません。

必要なサービスがあり、それを担う人がいる。

その両方があって初めて、介護や福祉は私たちの暮らしに届きます。

そして、介護が必要になった人にとっては、サービスが存在するだけでなく、自分にはどのような支援が必要なのかを一緒に考え、さまざまなサービスにつないでくれる人も重要です。

そこで次は、WELFARE-015・016で詳しく見てきたケアマネジャーについて、今回の改正と私たちの暮らしとのつながりを改めて考えてみます。

4.必要な介護サービスを、暮らしにつなぐケアマネジャー

介護サービスを利用するとき、必要なのは「サービスがあること」だけではありません。

介護が必要になった人が、どのような生活を送りたいのか。そのために、どのような支援が必要なのか。そして、地域にあるサービスをどのように組み合わせていくのか。

そうしたことを本人や家族と一緒に考え、必要な介護サービスを実際の暮らしにつないでいく役割を担っているのが、ケアマネジャーです。

WELFARE-015【前編】では、ケアマネジャーへの相談からケアプランの作成、サービスが始まった後の関わりまで、介護保険を利用するときの基本的な仕組みを見てきました。

そしてWELFARE-016【後編】では、その役割の一方で、本来のケアマネジメントだけでは収まりきらないさまざまな対応が、ケアマネジャーに集まりやすくなっていることも見てきました。

とくに、頼れる家族や親族がいない、あるいは頼ることが難しい人への支援では、入院や入所に関する手続、生活上のさまざまな調整など、「では、誰がするのか」がはっきりしないことがあります。

その結果、ケアマネジャーが本来の役割を越えて対応することもあり、いわゆる「シャドウワーク」が課題となってきました。

だからこそ、前編で見てきた家族だけに頼らず暮らしを支える仕組みと、ケアマネジャーを取り巻く問題も、実はつながっています。

家族が担ってきたことを、すべてケアマネジャーが引き受けるのではなく、地域のさまざまな支援につなぎながら、ケアマネジャーが本来担うケアマネジメントを行える環境を整えていくことが重要になります。

また、2026年の改正では、ケアマネジャーについて、研修受講を要件とした更新の仕組みを廃止するなど、法定研修の見直しも行われます。

これは、単に資格の手続が変わるというだけの話ではありません。

ケアマネジャーを取り巻く負担や人材確保の課題もあるなかで、専門性をどのように確保しながら、必要な人材を確保していくのかという問題にもつながっています。

第2章では、地域に必要な介護サービスをどう確保するのか。

第3章では、そのサービスを担う人をどう確保し、働き続けてもらうのか。

そしてこの章では、必要な介護サービスを一人ひとりの暮らしにどうつないでいくのかを見てきました。

ただ、介護が必要になったときの暮らしを考えるうえでは、もう一つ大切な問題があります。

それが、「どこで暮らすのか」ということです。

次はWELFARE-012で見てきた有料老人ホームについて、サービスの「量」だけでなく、住まいや介護サービスの質をどう守るのかという視点からつないでいきます。

5.高齢者の「住まい」と介護サービスの質を、どう守るの?

介護が必要になっても、自宅で暮らし続ける人がいる一方で、有料老人ホームなどへの入居を考える人もいます。

そのとき大切なのは、単に「入居できる場所があるか」ということだけではありません。

そこでどのような生活を送ることができるのか。

介護が必要になったとき、どのようなサービスを受けることになるのか。

そして、そのサービスを自分で選ぶことができるのか。

高齢者の住まいを考えるときには、住む場所と、そこで受ける介護や生活支援を一緒に考える必要があります。

WELFARE-012では、有料老人ホームには「介護付き」や「住宅型」などがあり、介護サービスの受け方にも違いがあることを見てきました。

とくに住宅型有料老人ホームでは、入居者が外部の介護サービス事業者と契約し、訪問介護などのサービスを利用する仕組みがあります。

一方で、ホームと特定の介護サービス事業者との関係によって、入居者が必要以上の介護サービスを利用することにつながっていないか、本人がサービスを適切に選べているかといった問題も指摘されてきました。

そこで2026年の改正では、一定の要件に該当する有料老人ホームについて、新たな登録制度が設けられます。

登録を受けるホームについては、入居者が介護サービスを選ぶ際に、その選択を不当に誘導しないことなどが求められます。

ここで見直そうとしているのは、単に有料老人ホームの数を確保することではありません。

高齢になり、住まいを移すことになったとしても、必要な介護を適切に受け、自分の意思でサービスを選びながら生活できる環境をどう守るのか。

それもまた、介護・福祉サービスを支えるうえで重要な課題です。

ここまで見てくると、今回の改正で扱われている問題が、少しずつつながってきます。

人口が減る地域でも、必要な介護サービスを届けられるようにすること。

そのサービスを担う人を確保し、働き続けられる環境をつくること。

ケアマネジャーが必要なサービスを一人ひとりの暮らしにつなぐこと。

そして、住まいが変わっても、必要な介護やサービスの質、本人の選択を守っていくこと。

これらは別々の制度ですが、私たちの側から見れば、すべて「必要な介護や福祉を、実際の暮らしの中で受けられるようにするための仕組み」につながっています。

次の章では、ここまでをつなぎながら、【中編】全体をまとめます。

6.介護・福祉を「届ける仕組み」も変わろうとしている

ここまで、人口が減る地域の介護サービス、福祉人材、ケアマネジャー、高齢者の住まいと介護サービスについて見てきました。

それぞれ異なる制度の話ですが、私たちの暮らしから見ると、一つの大きな課題につながっています。

それは、必要な介護や福祉を、これからも地域の暮らしの中へどう届けていくのかということです。

介護サービスを必要とする人がいても、地域に利用できるサービスがなければ支援は届きません。

サービスがあっても、それを担う人がいなければ提供することはできません。

そして、サービスと人がそろっていても、一人ひとりの状態や希望に応じて必要な支援につなぐ仕組みが必要です。

さらに、住まいを移すことになったときにも、そこで受ける介護サービスの質や、本人がサービスを選ぶことのできる環境を守っていかなければなりません。

こうして考えると、介護や福祉を支えるために必要なのは、単に「サービスの数を増やすこと」や「働く人を増やすこと」だけではないことが分かります。

地域によって異なる状況に合わせてサービスを提供できる仕組みをつくること。

介護・福祉を担う人を確保し、働き続けられる環境を整えていくこと。

必要なサービスを、その人の暮らしにつないでいく専門職を支えること。

そして、サービスを利用する人の選択や、提供されるサービスの質を守ること。

こうした一つひとつがそろって、初めて介護や福祉は私たちの暮らしに届きます。

地域に介護・福祉サービスがあり、それを担う人がいて、ケアマネジャーなどが必要な支援につなぎ、住まいや暮らしの中でサービスを受けるまでの流れを示す図
必要な介護・福祉を暮らしに届けるためには、地域のサービス、担う人、必要な支援につなぐ専門職、そして安心して暮らせる住まいや生活の場がつながっていることが大切です。

2026年の改正では、そのために、人口減少地域の介護サービスのあり方、福祉人材の確保・定着、ケアマネジャー制度、高齢者の住まいなど、サービスを実際に届ける側の仕組みにも見直しが広がっています。

もちろん、制度が変われば、人口減少や人材不足といった問題がすぐに解消するわけではありません。

地域によって人口構成も、事業所の状況も、必要とされるサービスも異なります。これから新しい制度が実際にどのように運用され、地域の介護や福祉にどう反映されていくのかを見ていく必要があります。

それでも、【前編】と【中編】を続けて見てくると、2026年の改正をもう少し大きな視点から捉えることができます。

【前編】で見てきたのは、困った人を受け止め、必要な支援につなぎ、家族だけに頼らず本人の暮らしや権利を支える仕組みでした。

そして【中編】で見てきたのは、その支援を実際に届けるためのサービス、人、専門職、住まいなどをどう支えていくのかという問題です。

しかし、これだけで地域の福祉が成り立つわけではありません。

一つの事業所や一つの専門職だけでは対応できないこともあります。人口減少が進む地域では、事業者同士が協力することも必要になります。そして災害が起きたときには、平時とは異なる形で地域の福祉を支えなければなりません。

そこで次の【後編】では、WELFARE-017・018で見てきた社会福祉連携推進法人やDWAT(災害派遣福祉チーム)もつなぎながら、

「地域全体で福祉を支える仕組みは、どう変わろうとしているのか」

という視点から、2026年の社会福祉法等改正をまとめていきます。

参考資料・情報について

この記事は、2026年9月時点の制度と、厚生労働省が公表している2026年の社会福祉法等の改正に関する資料をもとに作成しています。

厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律案の概要」
厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律(令和8年法律第51号)の概要②」

この記事は2026年9月時点の情報です。
2026年の法改正には、今後、施行に向けて具体的な運用が示されるものが含まれています。実際の制度や支援を確認するときは、厚生労働省や都道府県、市区町村などが公表する最新情報をご確認ください。

本記事の作成にあたっては、資料の整理、構成の検討、文章表現の補助などに生成AIを利用しています。

ただし、制度改正に関する記載については、厚生労働省の公表資料等を確認しながら作成しています。

更新履歴

2026年9月23日 公開

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