導入|「ケアマネさん」って、何をしてくれる人?
介護が必要になったとき、「まずケアマネさんに相談してみてください」と言われることがあります。
けれど、初めて介護に直面したときには、
「ケアマネジャーって、そもそも何をする人?」
「どこで探せばいいの?」
「何を相談していいの?」
「ケアプランって、自分で決められるの?」
など、分からないことも多いのではないでしょうか。
ケアマネジャーは、介護サービスを利用するときに、本人の希望や生活の状況を確認しながら、必要な支援を一緒に考え、介護サービスや関係機関との調整を行う専門職です。
この記事では、介護が必要になったときにケアマネジャーに何を相談でき、どのような支援を受けられるのかを、初めて介護保険を利用する方にも分かるように順番に見ていきます。
後編では、さらに一歩進んで、ケアマネジャーにはどこまで頼ることができるのか、身寄りのない高齢者への支援や「シャドウワーク」、これからの制度の見直しについて取り上げます。
1.そもそも「ケアマネジャー」とは?
ケアマネジャーの正式名称は、「介護支援専門員」です。
ここでいう「ケアマネジャー」は、介護保険制度の介護支援専門員を指します。
なお、「ケアマネジメント」という支援の考え方は、高齢者の介護保険だけにあるものではありません。 障害福祉や障害児支援でも、本人の希望や生活の状況を踏まえて利用するサービスを考え、関係する事業者などと調整し、その後の状況を確認していくケアマネジメントが行われています。
ただし、制度によって担当する専門職は異なります。 介護保険制度では介護支援専門員(ケアマネジャー)がケアマネジメントを担い、 障害福祉や障害児支援では、主に相談支援専門員がサービス等利用計画や障害児支援利用計画の作成、サービスの調整、モニタリングなどを行います。
この記事では、このうち介護保険制度の「介護支援専門員(ケアマネジャー)」について見ていきます。
介護を必要とする人やその家族から相談を受け、本人の心身の状態や生活環境、本人や家族の希望などを確認しながら、必要な介護サービスを利用できるように支援する専門職です。
たとえば、
「できるだけ自宅で暮らし続けたい」
「お風呂に入るのが難しくなってきた」
「一人で買い物や食事の準備をするのが大変になった」
「家族だけで介護を続けるのが難しくなってきた」
といった状況があれば、本人がこれからどのような生活を送りたいのかを一緒に考えます。
そのうえで、訪問介護やデイサービス、福祉用具など、必要な介護サービスを組み合わせた「ケアプラン(居宅サービス計画)」を作成し、サービスを提供する事業者などとの連絡や調整を行います。
また、ケアプランを作って終わりではありません。
サービスの利用が始まった後も本人の生活や心身の状態を確認し、「今のサービスで困っていることはないか」「別の支援が必要になっていないか」などを確認しながら、必要に応じてケアプランを見直していきます。
つまり、ケアマネジャーは単に「介護サービスを紹介する人」や「ケアプランを作る人」ではありません。
介護が必要になった人が、これからどのような生活を送りたいのかを一緒に考え、その生活に必要な介護や支援につないでいく専門職です。
では、実際に「介護が必要かもしれない」と思ったとき、私たちは最初にどこへ相談すればよいのでしょうか。
次の章では、介護の相談からケアマネジャーにつながるまでの流れを見ていきます。
2.「介護が必要かも」――まず、どこに相談すればいい?
「最近、立ち上がるのが大変になってきた」
「一人でお風呂に入るのが少し不安」
「親の物忘れが増えて、このまま一人で暮らせるのか心配」
このような変化を感じても、初めて介護に直面したときは、「どこに相談すればいいのだろう」と迷う方も多いのではないでしょうか。
介護について相談したいときは、まずお住まいの市区町村の介護保険担当窓口や、地域包括支援センターなどに相談することができます。
地域包括支援センターでは、高齢者に関するさまざまな相談を受け、必要に応じて適切な制度やサービス、関係機関につなぐ支援を行っています。
地域包括支援センターがどのようなところなのかについては、以前の記事 「地域包括支援センターって、どんなところ?|役割やどんなことを相談できるの?」 で詳しく紹介しています。
介護保険サービスを利用するには、まず「要介護認定」へ
介護保険のサービスを利用する場合には、原則として市区町村に要介護・要支援認定の申請を行います。
申請後は、本人の心身の状態などを確認する認定調査や主治医意見書などをもとに審査が行われ、介護の必要度に応じて、
要支援1・2
要介護1~5
などの認定結果が出ます。
そして、この認定結果によって、その後のケアプラン作成やサービス利用の進め方が変わってきます。
「要支援」と「要介護」では、その後の窓口が少し違います
要介護1~5と認定され、自宅で介護サービスを利用する場合は、一般に居宅介護支援事業所のケアマネジャーにケアプランの作成を依頼し、必要な介護サービスを調整してもらいます。
一方、要支援1・2の場合は、介護予防のためのケアプランを作成してもらいます。
従来は地域包括支援センターが中心でしたが、2024年4月からは、市区町村から指定を受けた居宅介護支援事業所も、介護予防支援を直接行えるようになりました。
そのため、実際の相談先や手続きについては、お住まいの市区町村や地域包括支援センターで確認すると安心です。
ここで大切なのは、最初から自分で「どの介護サービスを使えばいいのか」まで決めておく必要はない、ということです。
「介護が必要なのか分からない」
「何から始めればいいのか分からない」
という段階でも、まず相談してかまいません。
では、要介護認定を受けたあと、実際にケアマネジャーはどのように探せばよいのでしょうか。
次の章では、ケアマネジャーの探し方と、最初の相談で何を話せばよいのかを見ていきます。
3.ケアマネジャーはどうやって探す?何を相談できる?
要介護認定を受けて、自宅で介護サービスを利用することになったら、次はケアプランの作成などをお願いする居宅介護支援事業所を探します。
「ケアマネジャーは、市役所が決めてくれるの?」と思うかもしれませんが、利用する居宅介護支援事業所は、本人や家族が選ぶことが基本です。
どこに事業所があるのか分からない場合は、市区町村の介護保険担当窓口や地域包括支援センターなどで相談できます。
また、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」でも、地域の居宅介護支援事業所を調べることができます。
ただし、「居宅介護支援事業所を選べること」と、「その事業所に所属する特定のケアマネジャーを必ず担当者として指名できること」は同じではありません。
実際の担当者については、事業所の体制や担当件数などによって決まる場合があります。
最初の相談では、何を話せばいい?
初めてケアマネジャーと話すときに、
「介護サービスのことを何も知らない」
「何をお願いすればいいのか分からない」
と心配する必要はありません。
むしろ、最初から「訪問介護を週に何回」「デイサービスを何曜日に」と決めておく必要はありません。
まず伝えたいのは、今の暮らしで困っていることです。
たとえば、
「一人でお風呂に入るのが怖くなってきた」
「買い物に行くのが大変になった」
「薬をきちんと飲めているか不安」
「家の中で転ぶことが増えた」
「できれば、この家で暮らし続けたい」
「家族にできるだけ負担をかけたくない」
こうしたことも、ケアマネジャーに相談するための大切な情報です。
ケアマネジャーは、本人の心身の状態だけではなく、生活環境や本人の希望などを確認しながら、どのような支援が必要なのかを一緒に考えていきます。
つまり、
介護サービスの名前が分からなくても大丈夫です。まずは、「今、何に困っているのか」「これから、どのように暮らしたいのか」を伝えることから始めればよいのです。
ケアマネジャーとの関係で困ったときは?
ケアマネジャーとは、その後も継続して相談しながら介護サービスを調整していくことになります。
だからこそ、「話を十分に聞いてもらえない」「希望を伝えにくい」など、担当者との関係で困ることがあれば、一人で我慢し続ける必要はありません。
まず担当のケアマネジャー本人に伝えたり、所属する居宅介護支援事業所に相談したりすることができます。必要に応じて、市区町村や地域包括支援センターなどに相談することも考えられます。
大切なのは、ケアマネジャーにすべてを任せることではなく、本人の希望や困りごとを伝えながら、一緒にこれからの生活を考えていくことです。
では、その話し合いをもとに作られる「ケアプラン」とは、いったいどのようなものなのでしょうか。
次の章では、ケアプランは誰が決めるものなのかというところから見ていきます。
4.「ケアプラン」って何?――介護サービスは誰が決めるの?
ケアマネジャーに相談すると、本人の心身の状態や生活環境、希望などを確認しながら、必要な介護サービスについて一緒に考えていきます。
その内容を具体的な支援の計画としてまとめたものが、「ケアプラン」です。
ケアプランには、単に「どの介護サービスを何回利用するか」だけが書かれているわけではありません。
まず大切になるのは、本人がこれからどのような生活を送りたいのかということです。
たとえば、
「できるだけ自分の家で暮らし続けたい」
「自分でできることは、これからも自分で続けたい」
「また一人で近所まで買い物に行けるようになりたい」
「家族に頼りきりにならずに生活したい」
といった希望があれば、その生活を実現するために何が必要なのかを考えていきます。
ケアマネジャーは、本人の状態や生活上の課題を確認し、本人や家族の希望を聞きながら、必要なサービスを組み合わせてケアプランの原案を作ります。
そして、その内容について本人や家族に説明し、意向を確認しながらケアプランを作成していきます。
ケアマネジャーが介護サービスを「決める」わけではありません
ここは、とても大切なところです。
ケアマネジャーは専門的な立場から必要なサービスを提案したり、サービス事業者との調整を行ったりします。
しかし、だからといって、ケアマネジャーが一方的に「あなたはこのサービスを利用してください」と決めるものではありません。
本人には、どのようなサービスを利用するのか、どの事業者からサービスを受けるのかについて、希望を伝えることができます。
「このサービスは利用したくない」
「できれば別の方法を考えたい」
「この曜日は外出したくない」
「もう少し自分でやってみたい」
そのような希望も、遠慮せずに伝えてよいのです。
もちろん、介護保険で利用できるサービスには、要介護度による支給限度額やサービスごとの要件などがあります。そのため、希望したことがすべてそのまま介護保険サービスとして利用できるとは限りません。
それでも、本人の希望を聞かずに計画を決めるのではなく、本人の生活を出発点として、利用できる制度やサービスの中から一緒に方法を考えていくことがケアマネジメントの基本です。
ケアプランの中心にいるのは、ケアマネジャーでも介護事業者でもなく、介護を受けながら生活する本人です。
では、ケアプランを作って介護サービスが始まったら、ケアマネジャーとの関係はそこで終わるのでしょうか。
次の章では、サービスが始まった後のケアマネジャーとの付き合い方と、ケアプラン作成にかかる費用について見ていきます。
5.サービスが始まった後は?――ケアマネジャーとの付き合い方と費用
ケアプランができ、訪問介護やデイサービスなどの利用が始まったあとも、ケアマネジャーとの関わりは続きます。
介護が必要な人の状態や暮らしは、ずっと同じとは限りません。
「以前より歩くのが大変になった」
「一人でできることが増えてきた」
「デイサービスに通ってみたけれど、どうも合わない」
「家族の状況が変わり、これまでと同じように介護できなくなった」
こうした変化があれば、ケアマネジャーに相談することができます。
ケアマネジャーは、サービスが始まった後も本人の生活やサービスの利用状況を継続して確認します。これを「モニタリング」といいます。
居宅介護支援では、原則として少なくとも月に1回は本人と面接し、心身の状態や生活の変化、サービスが適切に提供されているかなどを確認します。
一定の要件を満たす場合には、少なくとも2か月に1回は本人の居宅を訪問して面接したうえで、訪問しない月についてテレビ電話などを活用して面接を行うこともできます。
そして、状況が変わったときには、必要に応じてケアプランやサービスの内容を見直していきます。
困ったことや変化は、次の訪問まで待たなくても大丈夫です
ケアマネジャーとの面談は、単なる「定期確認」ではありません。
介護サービスを利用するなかで、
「最近、転ぶことが増えた」
「食事を作るのが難しくなってきた」
「今のサービスでは生活が大変になってきた」
といった変化があれば、相談してかまいません。
反対に、
「できることが増えた」
「このサービスはもう必要ないかもしれない」
という変化も大切です。
困ったことが起きたときだけではなく、暮らしや身体の状態が変わったときに相談できる相手として、ケアマネジャーと付き合っていくと分かりやすいでしょう。
ケアマネジャーへの相談やケアプラン作成に、お金はかかる?
ここも、初めて介護保険を利用する方には分かりにくいところです。
自宅で介護サービスを利用するための居宅介護支援については、通常、利用者がケアプラン作成などの費用を自己負担することはありません。
つまり、ケアマネジャーによる居宅サービス計画の作成や、サービス事業者との連絡・調整などについて、通常は利用者の自己負担はありません。
ただし、ケアプランに基づいて実際に利用する訪問介護、通所介護、福祉用具などの介護サービスについては、所得などに応じた利用者負担があります。
「ケアマネジャーに相談すると、そのたびに相談料がかかる」という仕組みではありません。
介護について分からないことや、生活の中で困っていることがあれば、まず相談してみることが大切です。
では、ケアマネジャーにはどこまで頼っていいのでしょうか?
ここまで見てきたように、ケアマネジャーは、本人の希望を聞き、ケアプランを作り、必要な介護サービスにつなぎ、サービスが始まった後も継続して生活を支えていく大切な専門職です。
では、頼れる家族や親族がいない場合はどうでしょうか。
入院するときの手続き、日々のちょっとした用事、お金に関すること、亡くなった後のこと――。
生活の中で起こるさまざまな困りごとまで、ケアマネジャーにお願いできるのでしょうか。
ケアマネジャーには、どこまで頼ることができるのか。
後編では、身寄りのない高齢者への支援や、ケアマネジャーに本来の業務以外の対応が集まる「シャドウワーク」、そして2026年の法改正によるケアマネジャー制度の見直しまで、もう一歩踏み込んで見ていきます。
続きは、 「ケアマネジャーはどこまで頼れる?――身寄りのない高齢者への支援と、これから変わるケアマネ制度」 で解説します。
参考資料・情報について
この記事は、2026年9月時点の介護保険制度、厚生労働省が公表している介護支援専門員や居宅介護支援、介護サービス情報公表制度などに関する資料をもとに作成しています。
厚生労働省「介護サービスの情報公表制度」
厚生労働省「介護サービス情報公表システム」
厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」
厚生労働省「障害のある人に対する相談支援について」
この記事は2026年9月時点の情報です。
介護保険制度やサービスの利用方法などは、今後変更されることがあります。また、具体的な相談先や手続きについては、お住まいの市区町村などによって異なる場合があります。実際に利用するときは、市区町村の介護保険担当窓口や地域包括支援センターなどで最新の情報をご確認ください。
本記事の作成にあたっては、資料の整理、構成の検討、文章表現の補助などに生成AIを利用しています。
ただし、制度に関する記載については、厚生労働省の公表資料等を確認しながら作成しています。
更新履歴
2026年9月20日 公開