暮らしと福祉 | WELFARE-010

頼れる身寄りがいない人を、社会でどう支える?

2026年改正で変わる相談と支援のしくみ

公開日:

頼れる身寄りがいないと、どんなことが問題になるの?

「入院するとき、緊急連絡先を求められたらどうしよう。」

「施設に入ることになったとき、手続きを頼める人がいなかったら?」

「自分が亡くなったあと、残された手続きは誰がしてくれるのだろう。」

頼れる家族や親族がいない、あるいは家族がいても事情があって頼ることが難しい人にとって、こうした問題は決して遠い話ではありません。

2026年に成立した社会福祉法等の改正では、頼れる身寄りがいない高齢者等への支援が取り上げられました。

今回は、制度そのものだけではなく、「頼れる身寄りがいない人を、社会でどう支えていくのか」という視点から、今回の法改正を見ていきます。

これまで「家族がすること」とされてきたこと

私たちの暮らしの中には、法律で「家族がしなければならない」と一律に決められているわけではなくても、実際には家族や親族が担ってきたことが数多くあります。

たとえば、高齢になって一人での生活が難しくなったとき。病院への入院や施設への入所に伴う手続き、緊急時の連絡、日用品の準備や支払いなど、本人だけでは対応が難しい場面では、家族や親族が支えることが少なくありません。

そして、亡くなったあとにも、葬儀や納骨、住まいや家財に関することなど、さまざまな対応が残ります。

「身寄りがいない」は、家族がいないことだけではありません

家族がいても遠方で暮らしていることがあります。長い間交流がない場合や、それぞれの事情から支援を頼むことが難しい場合もあります。

大切なのは、家族が「いるか、いないか」だけではなく、実際に困ったときに頼ることのできる人がいるかどうかです。

今回の法改正で「頼れる身寄りがいない高齢者等」への支援が取り上げられた背景には、こうした暮らしの問題があります。

なぜ今、社会の仕組みとして考えるの?

頼れる身寄りがいないことによる問題は、元気に暮らしている間には表面に出ないこともあります。

ところが、病気やけがをしたとき、介護が必要になったとき、一人でさまざまな手続きをすることが難しくなったときなどに、それまで見えていなかった問題が現れることがあります。

そして、必要となる支援は一つではありません。元気なときの暮らしから、医療や介護が必要になったとき、そして亡くなったあとまで、時間とともに必要な支援が変わっていくからです。

こうした問題を、「本人が自分で何とかする」「家族や親族を探してお願いする」という方法だけで解決することが難しい場合があります。

そこで重要になるのが、家族や親族だけを前提とするのではなく、必要になったときに社会の支援につながることのできる仕組みです。

2026年の法改正で何が変わるの?

今回の改正には、大きく二つの面があります。

一つは、日常生活から入院等の手続き、亡くなったあとのことまでを支援する事業を、第二種社会福祉事業として位置づけることです。

もう一つは、困りごとを抱えた人が必要な支援につながることができるよう、相談体制等を整えていくことです。

新しく位置づけられる支援事業

今回の改正では、日常生活の支援だけでなく、入院等の手続きや死後事務までを含めた支援を行う事業が、第二種社会福祉事業として位置づけられます。

この新しい事業については、WELFARE-005「福祉サービス利用援助事業って、どんな制度?|2026年改正で広がる日常生活・入院入所・死後の支援」で詳しく解説しています。

そのため、この記事では同じ制度説明を繰り返さず、もう一つのポイントである「相談体制」に目を向けます。

頼れる身寄りがいない人の暮らしの困りごとを相談で受け止め、生活支援・医療介護・権利擁護など必要な支援につなぐ仕組み
頼れる身寄りがいない人を、地域の相談と支援につなぐ仕組み

「どこに相談したらいいの?」を減らすために

頼れる身寄りがいないことで困ったとき、最初から自分に必要な制度や支援先が分かっているとは限りません。

「入院することになったけれど、手続きを頼める人がいない」「一人暮らしを続けることに不安がある」「お金の管理が難しくなってきた」「亡くなったあとのことまで考えると心配」。こうした悩みは、介護だけ、医療だけ、生活だけと、きれいに分けられるものではありません。

だからこそ、支援の制度を整えるだけではなく、まず相談を受け止め、必要な支援につないでいく仕組みが重要になります。

一つの窓口だけですべてを解決するわけではありません

医療、介護、生活支援、住まい、権利擁護、そして亡くなったあとのこと。その人が抱えている困りごとに応じて、必要な制度や支援する人へつないでいくことが大切になります。

高齢者の身近な相談先である地域包括支援センターについてはWELFARE-007で、その役割や相談できることを詳しく紹介しています。

また、成年後見制度などの権利擁護につなぐ地域の仕組みについては、WELFARE-009「地域権利擁護相談支援センターって、どんなところ?」で取り上げています。

まとめ|「身寄りがない」ことが、「支えてくれる人がいない」ことにならないように

頼れる家族や親族がいないことは、それだけで生活に困っているという意味ではありません。一人で暮らし、自分で生活を組み立てながら、元気に過ごしている人もたくさんいます。

一方で、病気やけが、介護などをきっかけに、それまで一人でできていたことが難しくなることがあります。

2026年の社会福祉法等の改正では、頼れる身寄りがいない高齢者等への日常生活、入院等の手続き、死後事務の支援を行う事業を第二種社会福祉事業として位置づけるとともに、相談体制等を整備することが盛り込まれました。

もちろん、新しい制度が一つできれば、すべての問題が解決するわけではありません。必要となる支援は、その人の状況や時間の経過によって変わっていきます。

だからこそ、困ったときに相談できる場所があり、そこから必要な制度や支援する人へとつながっていくことが大切です。

「身寄りがないから仕方がない」ではなく、「頼れる身寄りがいなくても、必要なときには社会の中で支援につながることができる」。

今回の法改正によって、そのための仕組みが地域の中でどのように具体化されていくのか。これからも、制度の動きを見ていく必要があります。

参考資料・情報について

この記事は、2026年9月時点の社会福祉法、2026年改正法、厚生労働省の公表資料などをもとに作成しています。

厚生労働省「社会保障審議会福祉部会」関係資料
e-Gov法令検索「社会福祉法」

本記事の作成にあたっては、資料の整理、構成の検討、文章表現の補助などに生成AIを利用しています。

ただし、制度に関する記載については、社会福祉法や厚生労働省の公表資料等を確認しながら作成しています。

更新履歴

2026年9月18日 公開

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